あなたのひと文字「遊」

この字を使った言葉

遊び・遊ぶ・遊学・遊吟・遊芸・遊刃余地有り・遊行・遊山・交遊・漫遊・歴遊

この字の成り立ち

形声文字。行くという意味の「辶」と「斿(ゆう)」という字を組み合わせた形。「斿」は吹き流しと子供とを表し、旗竿を持つ人の形である。古代、先祖の霊が宿る旗をおし立てて出行することを「斿」と言った。旗には神霊が宿るので、神霊が「ゆく」こと、気ままに行動することを「遊」「遊行」と言う。

お神様とこの文字

「あそぶ」というのは、もともと神霊があそぶことで、神が自由に行動するという意味を持ちます。お神様が我々の住んでいる郷に降りてきて見て回るのは、作物の出来栄えや人々の暮らしです。日本全国で行われる秋祭りでは、お神輿に乗ったお神様がその年の五穀豊穣を見て回り、我々は豊かな実りに感謝をするのです。

「あそび」はのちに、興の趣くままに行動して楽しむこと、という意味を持ちますが、神事の中でも「神遊び」という「楽しみ」が重要な役割をもちます。神楽や雅楽に代表される神遊びでお神様に楽しんでいただき、「おもてなし」をするのが日本の神事の特徴と言えます。

「おもてなし」をする相手に楽しんでもらおうという日本人の心が、こんにちの芸能などを育くみ、私たちの生活を豊かにしてくれているのです。