あなたのひと文字「寿」

この字を使った言葉

寿ぎ・寿ぐ・福寿・高寿・寿光木・寿老人・寿歌・寿司・寿賀・寿宴

この字の成り立ち

形声文字。老の一部を省略した「耂」と「ちゅう」という字を組み合わせた形。「ちゅう」は田の疇(うね)の間に祝詞を入れる器を置いて豊作を祈るの意味で、「禱(いのる)」のもとの字である。

壽は「耂」と「ちゅう」を組み合わせることで、人の長寿を祈ることをいう。それで「いのちながし、いのち久しい」という意味になり、長寿を「ことほぐ(言葉で祝う)」「ことぶき(祝いの言葉、めでたいこと)」という意味になる。

お神様とこの字

「寿」は、おめでたい文字の代表格で、「ことほぎ(言祝ぎ)」という読みを持ちます。

「ことほぎ」とはお神様から我々に向けられる言葉で、神から賜る祝福の言葉です。日本全国で行われるお祭りや行事の類型に、一年に一度、あちらの世界から神が訪れ、人々に祝福の言葉を言って帰っていく「まれびと信仰」「来訪神行事」という形があります。沖縄のアカマタクロマタや九州のトシドン、東北のナマハゲが有名です。

「まれびと(客れ人)」は遠くの彼方から一年に一度やってきて、私たちに「ことほぎ」して豊作を祈るのですが、この「ことほぎ」に対する人間からの「返答」が「掛け合い」となり、「うた(歌)」となっていくと折口信夫は言っています。この「歌」に節がついて「歌謡」となり、博多の「祝いめでた」など祝い唄・祝ぎ歌として今も受け継がれているのです。